なぜワイヤー矯正で歯が動くの?矯正治療の仕組みを解説

歯の周りにある歯根膜に力がかかることで歯が移動する仕組み
なぜワイヤー矯正で歯が動くのか気になったことのある方も多いのではないでしょうか。ここでは、矯正治療の仕組みについて解説します。
歯の周囲には歯根膜という組織があり、ここに矯正装置で圧力をかけて引っ張るのが特徴です。すると、歯根膜が押されて歯槽骨が溶けるとともに新しい骨が形成され、ゆっくりと歯が移動します。この過程で生成されるのがプロスタグランジンと呼ばれる物質で、矯正中の炎症や痛みの原因となるそうです。
強い力で一気に歯を動かすことはできない
歯に強い力をかければ、多数の歯を同時に動かせるのではと考える方もいるでしょう。しかし、残念ながら、一気に歯を動かすことはできません。強い力で無理に動かそうとすると歯の周囲の血管が圧迫され、大きな負荷をかけてしまいます。
また、歯根吸収や歯肉退縮などのリスクも高まるそうです。ワイヤー矯正の場合、50~100g程度の力をかけて歯を動かしていきます。弱い力をじわじわとかけ続け、ゆっくりと歯並びを整えていくためです。
歯と周囲の骨を守るためにも長い治療期間が必要
歯を一気に動かすことはできないとわかってはいても、「一刻も早く終わらせたい」というのが多くの患者さんの本音ではないでしょうか。気持ちばかりが焦ってしまいますが、歯と周囲の骨を守って安全に歯並びを整えるためにも、数年単位での長い治療期間がどうしても必要です。
ただし、治療期間を短くする方法はあります。歯科医師から指示された注意点や通院頻度を守るなど、患者さん側としても治療に積極的に取り組むことが大切です。